「大切な命」

大阪市内の中学校へ。

190人の1年生の生徒さんにお話をしました。
 
来月が出産予定日の妊婦さんにも同行してもらい、赤ちゃんの心臓の音も実際に聴いてもらいました。
ドラマの一場面とはちょっと違う、自宅で出産する女性と家族のDVDも観てもらいました。
命が誕生する場面、命に出会う場面では幸せな時間が多いです。

でも、すべてが順調、幸せと限らなくて…
途中で亡くなる赤ちゃんもいるし、大人の事情で生まれてこられなかった命もある。

こうして、私たちがここにいるということ、
それは「母」が胎児を守り、周りの人も気にかけ、助け、私たち医療者もサポートして。

それでみんな、この世に生まれてきた。

だから、命を途中で投げ出すようなことはしないでほしいし、自分と同じように、周りの人も大事にしてほしい。

今も何かで悩んでいる人もいるかもしれない。

この先も、勉強のこと、友達との関係、好きな人のこと、親との関係、体のこと、いろんなことで悩むかもしれない。

それでも生きてこそと思うし、もしも悩んだ時には「人」と繋がってほしい。
信頼できる大人や相談する「場」と、繋がってほしい。

 

私が所属している大阪府助産師会でもメールでの相談を受け付けています。

私のところも、相談できる場の一つとして、思い出し、活用してもらえたらいいと思っています。
体育館で1時間、外はみぞれのような天候。
寒い中、生徒さんが真剣な眼差しで聞いてくれて、嬉しかったし、その集中力には感心しました。
 
最後に生徒さんからの質問がたくさんありました。
 
「助産師になるにはどうしたらいいのですか?」
 
「どうして助産師になろうと思ったのですか?」
 
「赤ちゃんが生まれる時は、どんな気持ちですか?」
 
「助産師の仕事で大変なことは何ですか?」
赤ちゃんが元気に生まれてくれた時は、「ほっとした」「安心した」がいちばんの気持ちです。
「感動」は客観的な立場の時には感動します。
大変なことは、瞬間、瞬間はあります。でも、赤ちゃんが無事に生まれてくれたら、その大変なことは、どこかへ吹っ飛んでしまいます。
生徒さんからこんな質問もありました。
「赤ちゃんはどこから生まれてくるんですか」
そして「セックスってなんですか」
この、ドストライクの直球、実はいちばん嬉しかった質問でした。
だって、この話を抜きにして、命の大切さは話せないと思うから。
生徒さんたちは、みんな知っている。
大人たちももちろん知っている。
その、お互いに触れずに終わろうとした最後に、いい意味で、ぶっ壊してくれた質問。
これは本当に本当にうれしかったです。
なので、私が思う「セックスってなにか」を精一杯、答えました。
体のしくみ、動物としてのしくみ。
でも私たちは人間だから、心が伴うもの。
心が伴うだけではなく、今日話した、妊娠や出産、子育てへと続いていくもの。
なんでしょうね、セックスって。
中学1年生向けの「模範解答」があるとは思います。
模範解答ができていたのかどうか、わかりません。
でも精一杯、答えました。